天国に行ったボクの愛犬

十歳で天国に行ったボクの愛犬エル(ゴールデンリトリバーの雌)は、散歩中、近所の川井さんちの前で必ずお座りする。ある時川井さんの御主人が庭木にホースで水をかけていた。エルはご主人の前でお座りした。

 
「なんだろう?この犬は、水が好きなの?」
問いかける川井さんの御主人にボクは言った。
 
「この子は赤ちゃん犬の時、お宅の奥さんに撫でてもらったことをいつまでも覚えていて、お宅の前では奥さんがいないか、いつもお座りして待つんです。」
 
「おーい‼お客さんが待っとるぞー。」ご主人は、奥さんを呼びに行った。
 
「そうかい。そうかい。私を待っていてくれたんかい。」
奥 さんは嬉しそうに言いながら奥から出て来た。エルの頭と喉元を両手で包んで愛おしそうに優しくなでてくれた。エルは、しっぽを振りながらずーとっ目を細めていた。
 
 
エルは十何年も前に病気で亡くなった。今でもボクは川井さんちの前を通るたび、一人娘のエルのことを思い出す。
家内に言うと必ず泣くから、この思い出は彼女には内緒だ。

柿に赤い花咲くの謎

妻が突然、『思い出』(唱歌「ロング・ロング・アゴー」と)のメロディーを口ずさみ始めた。この曲は何だったのか、思い出せないと言う。ボクは、柿に赤い花咲く~♪と、返してやったのだが、柿に赤い花なんか咲くか?と反論する。知人に訊ねたら、それは柿でなく、垣根に赤い花が咲いている情景を歌ったものだと教えてくれた。知らなかった。知らずに年老いてしまうところだった。

『これが男の生きる道』・『星に願いを』

『これが男の生きる道』
歌手植木等の大ヒット曲である
彼の曲の大半は青島幸雄の作詞によるものである
のちの東京都知事青島幸雄はテレビジョン放送の創成期の放送作家、コメディアン、俳優、歌手である。
植木等自身は僧侶になるのを嫌って、大学時代から、ジャズミュージシャン、歌手、俳優、コメディアンなどをこなした。『シャボン玉ホリデー』と映画『無責任男』シリーズは大ヒットした。彼自身が作詞した『星に願いを』も名曲である。

ホラーマンの不思議

①怖くない

②憎めない

③お調子者

④ケンカ弱い(すぐバラバラになる。)

⑤強い方に就く

⑥強者にすぐ弟子入りするがすぐ寝返る

⑦実は高貴な家柄

⑧原作者は一回こっきりキャラと考えていたが居ついてしまった

⑨人気投票では常にベストテン以内

親の家を片づける④着物と金歯

 

正月に一周忌の法要をするわけにもいかないので、時期はずらしてやることにした。

昨日は、着物の査定買い取り業者さんに来てもらった。


羽織と襦袢ばかりですね ➡ 金目のものはありませんね
扇子が凄くたくさんありますが日舞でもなさっていたのですか ➡ ごみですね
赤茶けた金属片を見つけて、慌てて計測器を出す ➡ 金ですね。これは、金歯の冠だと言い2300円と書き込む。
結局、模造刀1000円、着物、羽織、帯留め600円、金歯2300円、その他壷、置物など全部で6304円。

金歯まで取っておいた父。たぶん祖父のだ。先祖伝来のお宝が金歯2300円の金歯だけとは、いかにも貧しい我が家の伝統的象徴的事件でした。ちなみに母親の着物多数は、嫁に行ってから寄り付いたことのなかった姉が、持ち去っていた。

祖母の部屋の箪笥から、祖父母の着物が消え去っていたのは父親の兄弟姉妹が持ち帰ったものと判明した。
祖父母の相続預金を分割してくれと4人の兄弟姉妹から内容証明が届いたが、もともと、そんな預金はなかったため、父親は妻の郵便貯金を解約して4人に一人三百万円宛て支払いをしようとした。父のすぐ下の妹から異議があり、「私だけ中卒なので余分に百万円払って欲しい。」と言われた。もっともだと父は、退職金を前借して百万円余分に捻出した。結局、三百万円×3、四百万円×1で1300万円の金が支払われた。当時、晩御飯のおかずが減ったのと、ご飯が麦飯に変わったのを覚えている。

父は95歳で亡くなったが、父の下の弟はうつの症状を患い早死した。末の弟はがんで病死した。上の妹は認知症で家族とともに苦しんでいたが先年亡くなった。下の妹は経営していた店がつぶれ障害者を家族に持ち苦労していたが姉より先に他界した。

父は母に済まないことをしたと最期まで行っていたが、弟や妹に恨み言を言ったことはなかった。ボクは、父は馬鹿なのか❔年下の者に良いようにされて腹が立たないのか⁉といぶかしく思ったが、父にはそんな気持ちは毛頭なかった。他人を恨まなければ幸福でいられる。そんな高尚な考えは父にはないと思う。ただ、ただ、馬鹿は長生きするを地で行った父だった。そういう父をボクは誇りに思う。
誇りに思うかよ‼そんな金、あったらボクにくれ‼煩悩丸出し。あかんわ。

友人がベストセラー作家だった。

数年、音信不通の同期の友人がベストセラー作家だったことに今朝気づいた。感動する。元気だったのかと思う。安心する。でも、連絡はしないことにした。また、何年かして、どこかでばったりと会えた時に、私の事を覚えていれば話するし、覚えていなければ、そのままでいい。