押入れの側面天井床全てに段ボールを張り合わせていたので、きっと、ダニのすみかになっていたのだろう。凄い量のほこりとゴミにまみれて片づけている。
 現金は数万円が封筒に入れたまま、引き出しに放置されていた。通帳はすべてペイド‼こんなの、大事にとっとくなよ‼と腹が立つ。
 ダンヒルのゴールドメッキのライターが出て来た。手に取るとずっしりと重い。しかし、ネットの相場は二千円ほどであった。ゴミに近い。
 それから、未使用のタオル、バスタオル、石鹸、毛布、羽毛布団が、馬鹿なくらい出てくる。どうするつもりだったのだろう。父も母も。自分の命が永遠なら、押入れの中にこういう風にしてしまいこんで、いつか、だれかに使ってもらうようにすればいいけれど、そうではないのだから、もっと整理したり、不要なものは、例えば高価な羽毛布団なんかも、早いうちに使ってくれる人にプレゼントするとか、バザーに出すとかするべきだったんじゃないだろうか。
 ただ、ただ、悔しいし、疲れる。数日片づけにかかりっきりだが、とても、明るい気持ちにはなれない。
 来週は、着物の買い取り業者に来てもらう。査定しても、たいした値段がつかないと思う。なんでもいいから、早く引き取ってもらいたい。この、うっとおしい現実から逃れたい。親の家を片づけ始めてから、鬱がいよいよ進行し始めた。
 あとは、贅沢は言わないから、せめて、二十万円ほど、どこかの引き出しから出てくれば、ボクは今の状態から救われる、と思う。だめか?やはり。ボクのように打算で、親の家を片づけしても、どうやら救われない。家は綺麗になってもボクの心が醜いからだ。いかんいかん、ますます、鬱が進んで行く。心も掃除しよう。
  
  「汚い家に幸せは来ませんよ。」
             松居一代先生 談話