ザ・プロレスラー⑱バディー・ロジャース

ダーティ・チャンプ。フィギィアー・フォー・レッグロック。アトミック・ドロップ。

諸説あるカール・クラウザー(ゴッチ)によるロジャース襲撃リンチ事件の真相を検証する。馬場さんはロジャースの大ファンだったみたいだ。ショーマン・スタイルの代表格のように言われているが馬場さんは対戦者としての実感から「強い。最高のレスラー。」と表現する。同じ感想を天龍源一郎選手も述べている。

肝心の、カール・クラウザーとドクター・ビル・ミラーによる襲撃リンチ事件であるが、馬場さんによるとドレッシングルームでカール・クラウザーがバディー・ロジャースに何か話しかけて口論になった。馬場さんが振り向いた時には、ロジャースが倒れていたというものである。つまり、口論は聞いたけれど、襲撃の瞬間は見ていないのだ。そこで何があったかは、当事者に確かめる以外に方法はない。

しかし、馬場さん他、カール・ゴッチもビル・ミラーもバディー・ロジャースも他界している。特に、ロジャースは71歳の時にスーパー・マーケットの床に落ちていたアイスクリームに足を滑らせて後頭部を強打し、それが原因となって死亡したと言う。

現役時代、スーパー・スター、ネイチャー・ボーイ、最高のレスラーと評せられた男の末路としてはあまりにもみじめだ。また、現役のチャンピォン時代に、いくら二対一とは言え、カール・ゴッチとビル・ミラーに襲撃され、殴られ、骨折し、入院、王座転落したなどとは、強さを売り物のプロレスの王者としては作り話としてもみじめすぎて信じたくない。

後年、レスラーの遺恨試合や因縁によるストリートファイトを売り物にするプロレス団体も現れたが、バディー・ロジャースの時代にはまだ、そういうギミックやフェイクは生まれていないはずだ。ただ、不幸な事故とだけ結論付けたい。