やられやられて堪忍袋の緒が切れて最後に爆発大逆転「ナショナル・キッド」

テレビの創成期、三菱ダイヤモンド・アワーに対抗したかどうか知らないが松下電器グループは「ナショナル・キッド」、子ども向け特撮実写ドラマで勝負に出た。アメリカのテレビドラマ 「スーパー・マン」の日本版で、ヒーローものの走りと言えよう。
ナショナル・キッドは松下電器がスポンサーとして、日本の子どもたちが将来、科学に興味を持つようになってもらえるようにと言うコンセプトでスタートしたらしいが、その意に反して出来上がったドラマは荒唐無稽なスーパーマンの亜流ものになってしまった。
「子供の頃、手塚治虫の『鉄腕アトム』を見て科学者を志した。」と語ったサイエンティストがいたが、『ナショナル・キッド』を見て科学者になろうと思った人はいないだろう。


子供心に見ていて楽しかったが、科学の素晴らしさは感じられなかった。むしろ、ナショナル・キッドは魔法使いか超人である。第一、月光仮面や怪傑ハリマオと違って、敵にやられそうになって最後には相手を倒すと言うハラハラドキドキの展開がない。まったくない。ナショナル・キッドは事件の現場に到着すると、その時点で事件は終わる。
この点が、ナショナル・キッドにボクらが不満を持ったゆえんだろう。正義の超人ヒーローであっても日本製であるかぎりは、やられてやられて堪忍袋の緒が切れて最後に爆発大逆転のルールは守らねばならない。力道山だって、高倉健さんだって、皆そうやってきたじゃないか。

今ならさしずめ「パナソニック・キッド」⁉