〈水島新司さんドカベン連載終了に思う〉

水島新司さんのドカベンが何十年かの連載を終了した。作家が、お亡くなりになる前の完結で喜ばしいかぎりだ。長いのが良い事とは言えない時代なので、連載終了は良かったと思う。日大の理事長もボクシング連盟の会長も長く権力の座に居座って、現在、不正や悪事がどんどん表面化している。

水島さんが権力の座にいたとは言わないが、雑誌の連載枠を一つ確保して何十年と居座ったわけだから、少なくともその間、ボクらはほかの才能ある新人の作品は読めなかったわけだ。また、雑誌社、編集者側もこの大作家の超長期連載からくるマンネリズムの犠牲になっていた面があることは想像に難くない。

何しろ、老醜は、さらすべきではない。人間にとって大事なことの一つの要素は間違いなく引き際だ。惜しまれつつ、去っていく。このことが重要なのだ。

ボクが、ドカベンを、水島作品を評価しないのは、この作家が描く対象についてあまり、取材をした様子が見えないからだ。ド素人のボクが言うのは良くないが、金出して漫画を買う読者様だから許してくれ。

ドカベンの第一作で山田が柔道をしているシーン。柔道部員が「大外刈りー‼」とかなんとか叫んで、相手に技をかけているその技が、小外刈りか、大内刈りだった。あほらしくて、詳細は忘れた。正確には覚えていない。子供ながらに、いい加減なことを描く漫画家として記憶してしまった。

さらにこの作家の女性に対する描写の下手さが気になった。ひどいブスか、美人か、子供しか描けない。それから、ほとんど女性はワンピースを着ている。ワンピースなら描くのに楽だか何だか知らないがへたくそで見るに堪えない。

ちばてつや先生も女性服の描写のセンスは劣悪だった。が、あしたのジョーの連載途中から、一流のレディースのデザイナーの絵かと思うくらい洗練された絵に変化した。林紀子、白木葉子と言ったヒロインの登場に華を添えたわけだ。資料を見てずいぶん、デッサンして努力したのだと思う。プロなら、みなさん、そうするんだろうけど。


水島新司さんは手塚治虫先生に、「君は、野球の試合だけをから、描いていればよいのだから、気楽でいいよなあ。」と言われたと言うが。気の毒で、コメントできないが。或る意味、正しいと思う。



誤解されないように断っておくが、じつはボクは水島新司さんのファンだ。へたくそな女性服の絵と心理描写の欠如した会話シーン以外は大好きだ。だから、里中満智子先生とのコラボ作品と、あぶさんは、大変良かった。