隆三杉の歌のうまさには定評があり、千秋楽のパーティーでは後援者たちに歌を披露してくれた。
ボクが心に残っているのは、チューブの『夏休み』かなんかを歌った時だ。
パーティー会場は静まり返った。隆三杉の伸びのある高音が、
「あ~夏休み。ちょいと泳ぎ疲れ~。クール・ベイビー‼」
と、響き渡ると聞いていた人たちから一斉に拍手が沸き起こった。
パーティー会場はホテルニューオオタニだったけど、ボーイさんまで拍手をしていた。まさに、隆三杉ワンマンショーだった。( のちに隆三杉はマジでCDデビューした歌手だ。)
そしてその頃、幕内だった隆三杉は十両から上がってきたばかりの貴花田と対戦することになった。新聞記者から、
「兄弟子( 先代・初代・貴ノ花 )の息子さんとの対戦ですがどうですか?」
と、聞かれて、
「どうもこうも、こないだまで小遣い上げてた子が対戦相手ですからねえ。やりにくいよ。」
と、語っていた。初対戦は確か、押し出しで貴花田の勝ちだった。
い~い人なんだ。千賀ノ浦親方。