昭和のアイドルレスラー

〈  スカイハイ 〉ミル・マスカラス『千の顔を持つ男』『仮面貴族』

 

 

都内でカラスが暴れているらしい。テレビのニュースで見た。空中からの攻撃には人間は弱い。スズメバチとか、カラスとかにつつかれたら無事ではいられない。雷や竜巻や雹、あられ、とにかく空から、攻撃されたら防ぎようがない。

 

そのニュースを見て、突然、何の脈絡もないのだが昭和のアイドル・プロレスラーを思い出した。ミル・マスカラスである。無理矢理言うとカラスつながりだ。

こう書くとブログが荒れるのではないと言う向きがあるが、余計なお世話だ。文章下手は自覚している。

 

ミル・マスカラスと言えば、アーロン・ロドリゲス商売上の名前だ。日本語に訳すると『千の顔を持つ男』となるそうだ。プロレス的には、もうこれだけで素晴らしい。後は、どうやって強さをアピールできるか、どうやって魅せることができるかである。

 

派手なマスクを複数持っていて毎回違うマスクでリングインする。試合用のマスクの上にオーバーマスクと言うのを着けていて、リング上で名前を呼ばれると同時にオーバーマスクを脱いで観客席に投げ込むと言う派手なパフォーマンスをする。それだけでも観客は大喜びする。

リングに上がる前花道では、ファンがミルマスカラスを肩車して登場する。入場テーマは、ジョージ・レーゼンビーの主演映画の主題歌でジグゾーというロックグループの『スカイハイ』だ。

それから、めったにラフファイトをしない。反則もしない。これが、反則外人、悪党覆面レスラーを見飽きた昭和のプロレスファンやちびっこファンに受けた。

それから、じつはケンカファイトも強いと言う事がわかって来た。ミルマスカラスの仮面を破ったレスラーは四人、ザ・デストロイヤーアブドーラ・ザ・ブッチャータイガー・ジェット・シン、トミー・ツルタ( ジャンボ鶴田 )。そして、この四人はマスクを破ってミルマスカラスの素顔を暴くと言うところまですることはできなかった。

 

当たり前だが、商売道具のマスクに手をかけられてマスカラスが黙っているはずはない。ボクサーのようなパンチで相手を攻撃する。パンチが早くて重くて、手数が多い。マスカラスがパンチを振るう時、彼は商売としてのプロレスをしてはいない。リング上でけんかをしているのだ。

 

ケンカと言えば、1979年の秋だったか、アブドーラ・ザ・ブッチャーとのケンカ試合を思い出した。反則、凶器、マスク破りをブッチャーが仕掛けた。マスカラスの顔色が変わった。(ウソ!マスクで顔色は分からない。)マスカラスはパンチで応戦した。と言うより、途中から、ずっとブッチャーの頭と言い、顔と言い殴り続けた。もちろんブッチャーは流血してグロッキーになった。時たまふらふらしながら逆襲しようと試みたが奏功することはない。

 

肝心なのはここからで、両者リングアウトの混乱の中、二人を引き離そうと大挙して日本側、外人側レスラー出て来て、両者を分けた。その時、ブッチャーの地獄突き( 空手で言う抜き手 )が控えの選手に当たった。すると突然、日本側、外人側レスラーが総がかりでブッチャーに殴ったり、蹴ったりのリンチを加えた。

マスカラスもブッチャーも当時全日本プロレスの花形レスラーだから、リンチや私闘で負傷することは試合数の減少、観客動員数の減少、売上低下につながるから馬場さんが許すはずがない。

しかるに大勢のレスラーがブッチャーに制裁を加えた。思うにブッチャーが嫌われていたと言うよりはマスカラスの怖さ、レスラー仲間が今でいうところの忖度をマスカラスに行ったと言うのが真相らしい。

ミルマスカラスはアイドルレスラーであると同時にケンカ強さも怖さも兼ね備えていたと言えよう。

 

余談だが、アーロン・ロドリゲス自身は生涯、四度、結婚している。それだけでも一流のアイドルレスラーではないか。( 知らんがな! )

アマレスの出身でなくて、ウェイトリフティングの選手経験がある。デビュー前は服飾デザイナーというから凄い。弟二人も人気レスラーでドスカラス、エル・シコデリコ(エル・サイケ・デリコ)と言う。もちろん、二人とも覆面レスラーだ。弟二人のマスクもアーロン・ロドリゲスのデザインらしい。

 

こんな余談で脱線をするとブログが荒れると言う人がいるが、かまわない。何しろ、ミルマスカラスはボクにとっては昭和のアイドルレスラーだから、あれもこれもエピソードを知ってる限り、ぶっこみたくて仕方がない。

 

そうこうするうちに『仮面貴族』の言われの由来も、『フライングクロスチョップ』の技術解説も、ミルマスカラス主演映画のエピソードについて書くスペースが無くなってしまった。残念で仕方ない。せめて『スカイハイ』のメロディでも口ずさんでみよう。歌詞は英語だから知らんけどな。