MRI

漱石二百十日の冒頭に、六十余りの太った爺さん(わしかいっ?!)が毛抜きで一本、一本、髭を抜いている情景を見て碌さんと圭さんが、話し出す。自分の実家の豆腐屋の話や、華族や金持ちの横暴に憤慨したりする。うどんで腹をこわして宿の女中に粥をせがんで、腹痛が治るとまた、二人でけんかする。熊本まで来て阿蘇に登らぬ馬鹿がいるかと。
漱石の肥後の紀行文か、碌さん圭さんの弥次喜多道中記かと思っていたら、最後は漱石得意の漢文調でキチンと締めた。
二人の頭の上では二百十日阿蘇が轟仝と百年の不平をかぎりなき碧空にはきだしている。   
妻はMRIからまだ出て来ない。漱石の短編二百十日(タイトルは二百十だが、枚数は七十ページ余り。)は読み終えた。