750ccライダー・ナナハンライダー ( 週刊少年チャンピオン 石井いさみ )

週刊少年チャンピオン50周年企画で石井いさみ先生の750ccライダー・ナナハンライダーを読んだ。懐かしい。こういうのが一番うれしい。今の漫画は、線が細くて薄いような気がする。ペンタッチが太くても、内容は薄くて貧弱なように感じる。

 

少年週刊漫画雑誌の創成期のころの編集者は荒くれが多くて締め切りを守る作家さんに対しては礼儀正しいけれど、ひとたび期日を外すと、鬼になったという話を読んだ。

どこで読んだかというと、少年週刊誌の編集後記に載っていたのである。

ボクは昭和、平成を通して、漫画作家や編集者と無縁の読者様だから一番偉いのだ。なにしろ、ガキの頃からじじいになるまで、ずっと週刊漫画雑誌を購読して編集者や作家のギャランティーを払ってあげている。

 

だけど、昭和というのは漫画界にとっても今考えるとつくづく、不思議な時代だった。

漫画作家さんは多種多様でいろんなジャンルがあった。ギャグマンガとかストーリー漫画という分類だけじゃあなくて、漫画のテーマをいろんなジャンルから、取材して描いていたのだ。単にスポーツ漫画と言っても、野球、サッカー、ボクシング、柔道、プロレス、テニス、ゴルフ、卓球、陸上競技、エトセトラetc.

そのスポーツ漫画に新たに、スポ根という分野が加わってさらにすそ野が広がる。

 

その時代に青春バイク漫画というジャンルを確立させた石井いさみさんはすごい。ヤマハのバイクに乗っていてCB750に憧れていたなんて面白い。そして自分の漫画に750ナナハンに乗る高校二年生の光を登場させる。

かつて日本の大型二輪の試験は限定解除審査に通った人しか受けられず、合格者が一パーセントにも満たず、司法試験より難関試験と言われた。また、自動二輪免許制度の変遷は、日本の年金制度の変遷と同様に度重なる改変、改定のせいで、時代々による不公平感は多大なものがある。

 

脱線したが、高校二年生の光少年がナナハンに乗って( いつもノーヘル )風を切るシークエンスはほぼ、不可能に近いのである。いわば、医師免許と弁護士免許を持つ国会議員が直木賞芥川賞を同時に受賞したみたいなもんか。

 

なにはともあれ、ボクらの少年時代の夢だった750ccライダーが今週限りで週刊少年チャンピオン誌上で蘇った。タッチはほぼ往年の連載当時。ストーリーやせりふ回しはメルヘンチックすぎて今じゃあ時代遅れと言われても仕方ない。しかし、懐かしさだけで百点満点。ありがとう。思わずお礼を言ってしまった。

 

ちなみに、750ccライダー・ナナハンライダー連載第一回をボクは、はっきりと覚えているが、早川 光は不良でえらく暴力的ですごみがあった。