心臓僧帽弁膜症手術をなめていた医師

最初の手術は10月15日。
七時間かかったらしい。
全身麻酔で寝ていたボクには記憶がない。

集中治療室で目覚めると異常に喉が乾いた。
まだ、水は飲めない。
氷の小さな欠片を一個、口に入れてもらう。
それが実にうまい。


それにもまして命が助かったということの喜びが大きかった
傷は痛むけれど、二週間、中央病院で入院して退院後は一か月ほど地元の病院で入院することが決まっていた

二回の入院後ボクは職場に復帰した
このころ、ボクは入院前よりはるかに顔色が悪く土気色をしていた

職場の連中は病み上がりのボクに気を使い黙っていたがボクの顔色は相当悪く、明日にでも死にそうな顔をしていたそうだ


職場復帰して一か月経ったが、手術する前より胸が苦しい

駅の階段がきつくて何度も休まないと上れない

あまり、ひどいので、地元の病院で検査してもらうと

検査結果を見て担当の医師がびっくりした

これは苦しいはずだ

数値が悪すぎる

すぐ、この診断結果を持って中央病院に行ってください

場合によっては再入院ということにもなりかねませんとその医師にと言われた



はたして、

最初の手術は失敗だったのだ

検査結果を見た医師の顔色が変わった

すぐ、手術をしましょうと言われた

一回目の手術は失敗だった

二回目の手術は12月27日だった

正月は集中治療室で迎えた

胸の手術後は大変痛かったが、胸の重苦しさや息苦しさはなくなっていた

ボクは最初の手術の執刀医に言いたいことがあったが彼は転勤した

二度とボクの前に姿を現さなかった



最初の手術前にその時の担当医が僕に言った言葉を思い出す

簡単な手術です

手術の時間は長いですが大丈夫です

99、9%の患者さんが成功して元気に復帰されています

ボクは運悪く失敗する側の患者だったのだ