吉田拓郎の夏休みは被爆後の広島を歌った

姉ちゃん先生
もういない
きれいな先生
もういない
それでも待ってる夏休み

学生のボクは、
「姉ちゃん先生は、きっとお嫁に行ったのだ。」と思っていた。

拓郎の歌詞の意味は、そうじゃなかった。


セミを逃がした夏休みも、
絵日記描いてた夏休みも、
イカをたべてた夏休みも、
きれいな先生も、
「原爆」
が、一瞬のうちに奪い去って行ったのだ。


だから、
拓郎は、
あんなに怒りを込めて歌う。嘆きと苦悩をぶつけて、歌う。

広島から上京して、
歌が売れてから、「ぺ二ー・レインでバーボン」を毎晩、浴びるように飲んだところで、消えた故郷の思い出や失った宝物は返って来ない。


だから、拓郎は、いつも、飲んだくれて、怒って、歌って、
生きて来た。


悲しい悲しい短い童謡のような歌「夏休み」。