東横線で渋谷から少し横浜寄りに、綱島と言う駅があった。ここを電車で通るたびにボクは、白川裕二郎さんのことを思い出す。
白川さんが大相撲朝日山部屋の女将さんにスカウトされ角界でやってた頃の四股名が「綱の富士」だ。地名を四股名にしたのだ。
これは、裕二郎さんから家の人が直接、聞いた話。
「そうだよ。」
将来は横綱を目指す日本一の富士のような力士になりなさいと言う朝日山親方の期待を込めた四股名と言えば、かっこいいのに、「住んでた町の名前」にしたというところが、素直で素朴で裕二郎さんらしい。
前から、ずうっと気になっていたことがあって今日はそれを言いたい。去年、友井雄亮さんが引退のプレス会見をした翌日だったか数日後だったか、朝のワイドショーで裕二郎さんが「友井君がメンバーから脱退したことについてどう思いますか?」と司会者から質問された。
「(友井が)辞めてくれてよかった。曲の振り付けが激しくて、身体がきつい。」
と言う意味のことを裕二郎さんが言った。
このコメントにはネットが少々ざわついた。
「苦労を共にしたメンバーに対して冷たい。」
「辞めたとたんに手のひら返しか!」
「理由はともあれ引退した人に対して酷い言葉だ。」
確かに、言葉だけを後から振り返って活字などで見るとひどいことを言っているように見えるが、ボクは裕二郎さんの本心が分かるような気がする。
この人は元々、役者としては優秀で演技者としてはうまいけれども、インタビューを受けてしゃべったり、ツィッターでコメントしたりするのは他のメンバーほど上手ではない。
口下手とか、話に落ちがないとか、天然とか、リーダーにはこき下ろされたりするけど、皆さんの周りにもいるでしょう。口下手でも純粋な人とか、話は下手でも会話すると心が温かくなるような人が。
お世辞でも何でもないけど、そういうタイプの人だと思う。
(友井が辞めてくれて、彼は振り付け担当だったから、あのきつい振り付けが無くなると思うとよかった。)
確かに言葉を追うと裕二郎さんはそう言っているが、本心ではない。辞めてよかった→振り付けが楽になるという文脈の間に、裕二郎さんの多くの言葉や気持ちが省略されている、とボクは考えている。
根拠は、友井君の引退会見の翌日、それを受けてメンバーが会見した時、裕二郎さんは大勢のプレスの前で本気で泣いていた。男泣きに泣いて、顔がぐしゃぐしゃになっていた。ああいう泣き顔は役者が演技ではやらない。見せても構わないように泣く。
ところが裕二郎さんは本気で泣いていた。子供のように泣いた。外見もなく泣くということは本音がこっちで、「辞めてくれてよかった。」と言うのは本心じゃない。
純烈のダンスは過激でオーバーワーク気味だった。「スターライト札幌」のエンディングのバックスピンキックなんか、体操選手でもキックボクサーでもないのにやる必要はない。
それを友井君が振り付けでやらせたかどうかはわからない。けど、昭和風のムード歌謡グループを目指していた純烈にとっては過激すぎる。
「辞めてくれてよかった。」発言の頃は、純烈の多忙さはピークだったと思う。念願の紅白出場の直後であり、また友井君の引退騒動もあり、心身ともに疲労はピークだったと思う。
そこに話し上手ではない裕二郎さんに司会者がいきなり振ったものだから、ああいうコメントになったと思う。失言だったことは確かだが、絶対に本心ではない。皆さん安心してください。
(べつにお前に言ってもらわなくてもいい?やっぱり。そうか。)