武蔵小杉に来るといつも先輩のことを思い出す。悲しみと後悔しかない。二年前、再開発で高層ビルがどんどん建ち(今もそうだけど)、昔と駅前の景観が随分変わっていたのに驚いた。そりゃそうだ。規制があっても人間の欲と企業のエゴには際限がない。そうして、どんどん都市化、高層化が進んで行く。先輩と七階の窓から周囲を眺め、こう言うディベロッパーや巨大資本が東京を侵食していくと憤ったのが懐かしい。

俺たちは、利潤を欲張りすぎず、正当価格でまっとうな地上げをやろう! 老人地権者に優しい開発をやろうぜと誓ったことが懐かしい。しかし、今となってはそれも叶わない。先輩はもういない。どうぞ安らかにと祈らずにいられない。ボクもいつまでも、しょんぼりとしてはいられない。田舎で心機一転、イチからやり直すしか、ないよな。