荒木一郎さんのまわり舞台の上でを読んでいる。
面白くてまだ、半分までも進まない。面白いから、荒木さんの言葉を反芻する。時にネットで検索するのでますます、遅延する。
本編はインタビューによる構成になっている。歌手としての荒木さん。俳優としての荒木さん。作家としての荒木さんについて、書かれている。今、歌手の途中。そして、インタビュアーは、荒木さんについて熟知している。そういう人を厳選している。
野坂昭如勝新太郎若山富三郎大原麗子研ナオコ、宇崎竜童、羽仁進等々の名前がポンポン出てくる。大原麗子のために作った曲とか、桃井かおりのプロデュースに心血を注いでいる様子、岸本佳代子の欲の無さとか、ボクらが知らなかった荒木一郎さんのエピソードに「へえ~。そんな事情があったのか?」と驚かされる。


考えてみれば、「バス通り裏」、「空に星があるように」、「いとしのマックス」、「今夜は踊ろう」、「町田警察署の勇み足事件」、「温泉こんにゃく芸者」、「荒木道子さんの息子」くらいの知識しかない。
これは失礼な話だが赦してほしい。田舎では、本当にミュージシャンとか、俳優とか、小説家とか、芸能界とか、についての情報が少ない。ない。荒木一郎さんが青学の付属に通っていて同棲していた。学生の時からバス通り裏に出ていた。渋谷で遊んでいた。
当時、ジャズ喫茶で遊んでいたら、解散した安藤組のチンピラとバッティングした。荒木さんは、ああ見えて結構、喧嘩師だ。手が早い。有名だったらしい。武闘派芸能人だ‼今じゃテレビに出てる俳優なり、タレントなり、歌手が、町の不良とけんかしてただで済むはずがない。そういう、ことが日常だったらしい。

ボクなんか、田舎の子だから、東京はわかる、渋谷も分かる、でも、解散した安藤組の人なんてまわりにいないし、ボクの村には、ジャズ喫茶もない。奪い合う女の子もいないし、遊ぶところもない。田舎の僕には、荒木さんに対して、、「バス通り裏」、「空に星があるように」、「いとしのマックス」、「今夜は踊ろう」、「町田警察署の勇み足事件」、「温泉こんにゃく芸者」、「荒木道子さんの息子」くらいの知識しかない。

こんなのは失礼だ。「荒木一郎さんのファンです。」とは言えない。だから、本を読む。荒木一郎さんのインタビュー記事をもとに構成されている3200円の本を読む。そして、昭和のヒーロー荒木一郎さんの時代を想像している。その時代の東京に思いを巡らす。


うちのが時々、口をはさむ。
「ねえ、荒木一郎って歌手だったの?俳優だったの?歌、うまかった?テレビドラマによく出てくる人?レコード大賞は取った?イケメンだった?お父さんはファンだったの?」
誠に五月蠅い。やかましい。やぐらしかたい。でも仕方ない。リアルタイムで見てない人には荒木一郎さんの独特の雰囲気はわからない。

その点、ボクは、子供のころ、テレビで「荒木一郎」を見ただけだが、、リアルタイムで見ているから断言できる。

「ファンだ‼」