正月に一周忌の法要をするわけにもいかないので、時期はずらしてやることにした。

昨日は、着物の査定買い取り業者さんに来てもらった。


羽織と襦袢ばかりですね ➡ 金目のものはありませんね
扇子が凄くたくさんありますが日舞でもなさっていたのですか ➡ ごみですね
赤茶けた金属片を見つけて、慌てて計測器を出す ➡ 金ですね。これは、金歯の冠だと言い2300円と書き込む。
結局、模造刀1000円、着物、羽織、帯留め600円、金歯2300円、その他壷、置物など全部で6304円。

金歯まで取っておいた父。たぶん祖父のだ。先祖伝来のお宝が金歯2300円の金歯だけとは、いかにも貧しい我が家の伝統的象徴的事件でした。ちなみに母親の着物多数は、嫁に行ってから寄り付いたことのなかった姉が、持ち去っていた。

祖母の部屋の箪笥から、祖父母の着物が消え去っていたのは父親の兄弟姉妹が持ち帰ったものと判明した。
祖父母の相続預金を分割してくれと4人の兄弟姉妹から内容証明が届いたが、もともと、そんな預金はなかったため、父親は妻の郵便貯金を解約して4人に一人三百万円宛て支払いをしようとした。父のすぐ下の妹から異議があり、「私だけ中卒なので余分に百万円払って欲しい。」と言われた。もっともだと父は、退職金を前借して百万円余分に捻出した。結局、三百万円×3、四百万円×1で1300万円の金が支払われた。当時、晩御飯のおかずが減ったのと、ご飯が麦飯に変わったのを覚えている。

父は95歳で亡くなったが、父の下の弟はうつの症状を患い早死した。末の弟はがんで病死した。上の妹は認知症で家族とともに苦しんでいたが先年亡くなった。下の妹は経営していた店がつぶれ障害者を家族に持ち苦労していたが姉より先に他界した。

父は母に済まないことをしたと最期まで行っていたが、弟や妹に恨み言を言ったことはなかった。ボクは、父は馬鹿なのか❔年下の者に良いようにされて腹が立たないのか⁉といぶかしく思ったが、父にはそんな気持ちは毛頭なかった。他人を恨まなければ幸福でいられる。そんな高尚な考えは父にはないと思う。ただ、ただ、馬鹿は長生きするを地で行った父だった。そういう父をボクは誇りに思う。
誇りに思うかよ‼そんな金、あったらボクにくれ‼煩悩丸出し。あかんわ。