警察官や米軍兵士の誘導に従って進んで行くと、基地内の最初のゲートで金属探知機にかけられる頃に、筆者は周りの様子に気が付いた。来場者には、若いカップルが圧倒的に多い。皆、お祭り気分で来ているようだ。もちろん、『日米友好祭』と言うからには、それは正しいことなのかも知れない。 

基地内には、アメリカンフーズやTシャツ、タオル、玩具等の売店が進路に沿って延々と軒を連ねている。空軍機用の巨大な格納庫の中にも売店が沢山あり、真ん中にステージが組まれ、軍人さんと家族らしき人達で編成されたコーラスグループが歌っている。

そこから外に出て、滑走路の手前にも食べ物の露店がずらりと並び、野外ステージが等間隔で組まれている。それぞれのステージに大勢のオーディエンスが集まっている。更に、その先では、F1のレーシングカーの展示をしていて、エンジンの爆音が鳴り響いている。それをプロレスラーの高山善廣さんが熱心に見ていた。

遠くには森が見え、その横にマンション風の白亜の建物、教会風の建物が見える。基地内はとにかく広い。まるで東京都の中にアメリカの地方の田園都市が一個、出現したかのように錯覚する。各所に銃を携えた迷彩服姿の兵士が立っている。皆、明るく、にこやかだ。

別々に三人の米兵に話しかけたが、全員、日本語は話せなかった。

私「オスプレイはどこ?」

二十代米兵「ペラペラ…ニキロ先、ターン・トゥー・ザ・レフト…ペラペラ。」

なんと、彼は『ニキロ先』だけ日本語を使った。『オスプレイ』と尋ねたら、一瞬小首をかしげ、それから、

「Oh!『アースプレイ』!!」

と叫んでにっこりした。

私「連れがあなたと記念撮影を望んでいるのだけど。」

イケメン米兵「OK!」

写真撮影には快諾を得た。なんか映画俳優みたいな兵士だな、と思っていたが、ふと、後ろをふりかえると若い女性のグループが記念撮影の順番を待っていた。彼は女性に人気があるのだと分かった。

私「『オスプレイ』は米軍と日本国に利益をもたらすか?」

三十代米兵「ペラペラ………ペラペラ。」

この私の質問は大きな過ちだった。私は英語ができない。できないのに質問だけ、英語で準備してきたからだ。問われた相手は、当然、英語で返してくる。大変気まずく、謝してその場を離れた。

さて、基地内を2キロも歩かないうちに、オスプレイが見えて来た。しかし、オスプレイに近づく順番待ちの行列が回りを取り巻いている。オスプレイの内部を見せてくれるらしいが、夕刻近くまで並ぶということで、断念した。

仕方が無いので、数百メートル先から写真に収めた。この日は『オスプレイ』について知りたいと思って『横田基地祭り・日米友好祭』に出かけたのだが英会話ができないものだから、肝心の『オスプレイ』について米兵とは話ができなかった。

来年迄に英会話を習おう、と思いながら帰路に着いた私であった。