--〈横山光輝『時の行者』〉

--〈横山光輝『時の行者』〉

2000年2月10日に講談社漫画文庫から横山光輝の『時の行者』初版が出ている。これは、アメリカのテレビドラマの名作『逃亡者』と『タイムトンネル』を繋ぎ合わせたような作品だ。『タイムトンネル』は主人公達が時空を超え、様々な時代に飛び込んで冒険をするSFもので、『逃亡者』は身に覚えのない妻殺しの罪を着せられた医師が犯行現場から立ち去った片腕の男(真犯人)を求め全米を舞台に追って行くと言う物語である。

主人公は常に危険と困難に襲われる。それを知恵と勇気で乗り切ってついにラストシーンで目的を達成すると言うストーリーである。
アメリカのテレビドラマ『逃亡者』と『タイムトンネル』はアメリカでそろそろ『スーパーマン』が視聴者に飽きられた頃に登場してきたドラマである。
苦難に見舞われた主人公が簡単にそこから脱出できはしない。毎回、絶対絶命、これで一巻の終わりというピンチを粘り強い努力と機転でひっくり返して行く。

一方、『時の行者』は核戦争で不毛の砂漠と化した未来の地球から日本人らしき少年と少女がタイムマシンで江戸時代の日本にやって来る。そして、江戸時代の日本史に出て来る有名な事件に巻き込まれながら、歴史を変えないようにと言う自らに課したテーマを頑なに守りながら、困難や事件を解決しながら、時空間を生き抜いて行くと言うストーリーだ。

横山光輝は多能多才の漫画家らしくアメリカドラマのSFものとサスペンスものを上手くミックスして、SF時代劇サスペンスドラマとして漫画作品に仕立て直した。歴史を学びながらエンターテイメントとしての漫画作品が楽しめる。とにかく文句なく面白い。まだの方がいたら、
ぜひともお勧めの一冊である。