日高の牧場へ着くと、おばちゃんが、
「まあ、ケイちゃん。
久しぶり‼
十九歳になったかね。
めんこいなあ。」
と、言った。
それから、おばちゃんに連れられて、北海道中を車で回った。
札幌と十勝にケイちゃんの父の兄弟がいたのでそこにも立ち寄った。
おじさんたちには、
「めんこいなあ。」
と言われた。
いとこたちにも、
「めんこいなあ。」
と言われた。
(そうか、私はめんこいのか?)
とケイちゃんは思った。
北海道を離れる日におばちゃんに「めんこい」の意味を聞いた。
「そりゃあ、『かわいい』と言う意味だべさ。」
(なんだ。私は誉められていたのか。)
ケイちゃんは初めて「めんこい」の意味を知った。