170Cmそこそこの佐山サトルが猪木に挑んだというより、エキシビジョン風のプロレス試合をしたと言う感じの試合だった。往年の猪木ならともかく、この時点での猪木の勝利を信じているものは誰もいなかった。

打撃、関節技、飛び技で随所の凄味を見せる佐山。正確にヒットしていたら、猪木は致命傷を負うであろう程の凄さであった。

この試合をリードしたのはもちろん佐山。実力も佐山が上。しかし、6分後、猪木はもっともプロレスらしいプロレス技「コブラツイスト」で佐山からギブアップを奪う。

どちらが強いとか、誰が勝利者であるとかは、問題ではなく、猪木と佐山は、この日、大観衆の前で「プロレス」をやって見せた。それは、素晴らしい事でもちろん評価に値する。

ボクも個人的にこういう試合は大好きだ。若い時からずっと馬場さんが続けて来たようなプロレスと言ったら、分り易いかもしれない。プロレスとしては100点満点中100点。いや、120点の出来と言ってもいい。

もう一つ、佐山の凄さは、この試合に向けて、130㎏ほどあった体重を90㎏台にしたことである。それを佐山にさせたのは猪木の力なのかも知れない。結局、ボクはこの試合に大満足であった。


しかし、前田 日明の言うように「誰か一番強いんや⁉」と言うなら、それは全然別の話。
プロレス会場に来ても、その答えは得られない。