三か月に一度は必ず御茶ノ水の駅で元編集者と待ち合わせる。

神保町のさぼうるに行くことが多い。

コーヒー飲むかサンドイッチかなにか食べる。

元と言うのは彼がもうボクの編集者ではないからだ。

いまだに仕事はしているらしいがセミリタイア状態なのでいつでも声をかけてくれと言う。

さぼうるを初めてボクに教えてくれたのも彼だ。




去年までは窓際の席に決まって腰かけていたマスターの顔を今年に入ってからは見ていない。

彼が店の子に訊ねると、体調を崩して入院しているとか。

彼は一瞬寂しそうな眼をして、、、、、

「そうか。」

と言い、それから急に無口になった。

学生時代から何十年となく通ってきて様々な思いが彼の中に沸き起こっているようだった。


ボクにはその何十年の彼の思いを知る由もない。

寂しいだろうが仕方ない。



さぼうるは営業を続けていく限りまた何十年と続くだろう。

そして、神保町にそういう店があったと言う記憶を持つ人々の心に残ることだろう。


マスターは94、5歳だろうか。

お健やかで過ごされることをお祈りしたい。