750万円だった。そんな金どこにあるの?という話
もっとも、最初の手術は執刀医のミスだから、本当はこの半分だったはずだが、医療訴訟をする気もなく、全額支払いした。支払ったのは勤務先の健保組合であり、その後ろには国家がいるわけだけど、とにかく、ボクの負担は数万円だった。
二回も胸を開かれて、骨を割られて、心臓を刻まれて、痛い思いをして、退院してからも不自由な思いをしたけれど、その不真面目な医師と争う気力はボクにはもう、なかった。
命が助かったこと。貯えの無い、だらしないボクを健保組合と国家の高額医療制度が支払面で助けてくれたことは、言葉に尽くせないほどありがたかったのだ。