奥付・検印・印税について大漫画家に尋ねてみた

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昭和29年(1954年)10月トモブック社から発行された宇宙物語(安田卓也・作)130円。
 
これも第五福龍丸の死の灰事件の直後に描かれたもので各国の水爆実験を激しく非難した内容となっています。
 
 
ところで、ほんのこの検印の意味は何でしょうか?
 
あとがきには三宅と言う人が『著者検印』があるから貸本漫画に特化したものではないと表現しています。
 
検印制度はその後、廃止になったようですが、検印をするのは書店で販売することを目的とした本に限られていたのでしょうか?
 
貸本漫画は検印がなく、一般読者に販売を目的とせず、貸本店に卸すことを目的としていたのでしょうか?
 
枝葉末節が気にかかって仕方ありません。ご存じでしたら御教示くださいまし。
 
 
 
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【大漫画家からの返事】
 
印税が絡んでいます。
著書の定価の一割を著者に支払うというのが一般的ですが、最近では色んな形があって、一割を貰っている人は少ないかも。

定価千円の本では、著者に支払われる印税額は百円。で、一万部刷りになると百万円。

昔はそれを確認するために検印が押されていたようです。だから売れっ子作家先生は、この判子を押す仕事が大変だったとか。ま、判子押しははだいたいが、弟子とかの仕事だったようですが。
出版社「一万部です。それでは確認のため、一万冊の検印をお願いします」著者「はい、判子を押して確認します」なんてやり取りがあったんです。

で、増刷されると、その分の印税がまた支払われるというわけです。
十万部増刷なんてなると、それで一千万円。ベストセラー作家は大儲けです。
でも判子を押すのは大変。

今は、出版社と著者との間で「発行部数で嘘はないよね?」「もちろんです」「じゃ信用します」みたいな関係になっているので、判子は必要なくなっている。ということです。収入印紙みたいなのを張って、そこに判子みたいなのがそれ以前の形式だったはず。印紙がなくなって、それから判子もなくなった。

貸本屋の本というのは出版社がいいかげんで、著作権もくそもなかったので判子は必要なしです。
だいたいが、一冊分の原稿料が支払われておしまいですから。

テキトーですみません。でも大体はこういう感じで決まっていて、徐々に変わって来たようです。