東京書籍から2011年6月 第一刷発行の「トキワ荘最後の住人の記録ー若き漫画家たちの青春物語ー」という本を読んだ。著者は山内ジョージ(紀之)さん。石ノ森章太郎さんと同郷で三つくらい年下。高校を卒業して石ノ森さんのアシストをした人物。
本人の弁によると、「私は三年ばかりトキワ荘で過ごし石ノ森さんのアシスタントをした漫画家予備軍、二軍選手というわけだった。」ということになる。
きのう、たまたま、石ノ森章太郎さんの海外旅行のいきさつを「サイボーグ009」の本人あとがきで読んだばかりなんだけど、石ノ森さんのアシだった山内ジョージ(紀之)さんの情報によると以下のようになる。
【要約】
①石ノ森さんは突然世界一周旅行に行くと言い出した。
②手塚治虫先生でさえまだ海外旅行に行ってなかったのでみんな驚いた。
③旅行資金は全くなく、いくつかの出版社が肩代わりした。
④1ドル360円の時代で観光旅行は許可されず、取材旅行を装って集英社に頼み込んで記者証を発行してもらった。( 作家の三島由紀夫さんもこの手で海外旅行に行った。帰国後、最初に書いた小説が『潮騒』である。)
⑤何より大変だったのは抱えていた仕事にけりをつけることだった。藤子不二雄さんや赤塚不二夫さんに後を託した。
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石ノ森章太郎さんの話では仕事に関する悩みを払拭するべく、三ヶ月の世界一周旅行に出発した。帰国後に新しいトレンドの作品『サイボーグ009』を発表したとなっている。
実態は、旅行資金も段取りも、ぐだぐたで、当時抱えていた仕事もほっぼり出して海外に行っている。もっとも、そうでもしなければ、売れっ子で超多忙だった石ノ森先生が
世界一周旅行に行くなどということは生涯不可能だったかも知れない。