忍者武芸帳と忍者秘帖

史実を元に丁寧にストーリーを組み立て漫画にしたのが忍者武芸帳で、一応の時代と場所を決めて自由に物語を展開させたのが忍者秘帖だと言う気がする。ボクの感じ方だけど。つげさんは時代物、忍者物は白土さんの画風をまねた、模倣した、そっくりに描いた。生活の為、人気作品にあやかろうとしたと告白している。

確かに似ているけどストーリーやアイディアはまるで異なる。一国一城を崩壊させる仕掛け、秘密兵器の連発銃などは意表をつかれ、読んでいてハッとする。

 

そして、つげさんはエッセイに、白土さんがつげさんを気に入って釣りや旅行に誘うばかりでなく仕事の世話をしてくれた等と言うエピソードを感謝を込めて書いている。

 

例外もある。水木さんと白土さんとつげさんが駅のホームで待ち合わせた。水木さんの弁によると浮浪者と栄養失調のグループだったという。それから、一人90円の定食を食べた。つげさんは、売れっ子の白土さんか、水木さんが金を出しておかずをせめてもう一品ずつ奢ってくれることを期待したがかなわなかった。

後で分かったことだが、みんな誰かが奢ってくれないかと期待して黙々と90円の定食を食べていたと言う。

 

当時は売れっ子でも報酬が得られるのは2、3か月先のことだったらしい。悲しい。