「あら⁉藤井君負けちゃったの❔」と言った。
「いや、今日も勝ったよ。どうして❔」
「対局が終わった時、藤井君が相手に向かって深々とお辞儀しているから。」
「あ、そっか。プロ将棋の対局で負けた合図は投了と言って手持ちの駒を盤面に置いたり、
負けましたと意思表示するだけらしいよ。別に、深々とお辞儀をするから負けと言う訳でもないらしい。
藤井四段は、年長者に対しての礼を尽くしているだけだろうよ。」
高校生の時、授業中、尊敬する人物は誰か?というアンケートがあって、
山本ケンちゃんは「横山寅吉」と書いた。
教師に「この人物は誰か?」と尋ねられ、山本ケンちゃんは、
「近所のおじさんで、『横山寅吉商店』の社長です。」と答えた。
教師に、「なぜ、尊敬するのか?」と聞かれ、ケンちゃんは、
「比較の問題です。」と回答した。
「誰と横山寅吉氏を比較するのか?」と問われ、
ケンちゃんは、
「あんたとだよ‼」と、教員を指さしながら、続けた。
「あんたと比べたら、横山寅吉商店のおっさんの方が百倍尊敬できるよ。」と言い放った。
教員は激怒し、「先生のどこが尊敬できんとや⁉」と怒鳴った。
「寅吉は正直やけど、あんたは嘘ばっかり教えとる月給ドロボーじゃねえか。」とケンちゃんは言った。
教師は、ケンちゃんをなぐった。ケンちゃんは教員の腹を蹴飛ばした。
教員は、教育委員会に呼ばれ、けん責、謹慎処分を受けた。
ケンちゃんは、転校した。
ケンちゃんは、翌年、東大に合格した。
今でも、年賀状が来る。
東大法学部を出て、三鷹の方で弁護士をしている。
他にも、高校時代、教師泣かせでいろいろ、やんちゃをしていたケンちゃん。
勉強しているすがたは、ついぞ、見たことがなかった。