ブルゾンちえみによく似た銀行テラーにため口で話しかけられた

 

バブル・デザインのアルマーニのセットアップスーツを買い取ったらポケットに紙が丸められて入っていた。引っぱり出したら、なんと、それはドル紙幣だった。21ドルあった。US$は円換算で今二千円くらいか。スーツの仲買人に電話したら、「もらっとけ‼」と言われた。

 


それで、銀行に両替に言ったら、ブルゾンちえみによく似たテラーが出て来て、ため口で説明された。
  「ああそう。US$を円に替えるのね。」
  「両替依頼書を書いてくれる。」
  「あ、免許証の提示は要らないから。」
ボクがこのテラーの友達なら分かるが、少なくとも客に言う言葉ではない。
で、15分くらい待たされて、今度は敬語で話しかけられた。

  「お客様、申し訳ありません。鑑定機が故障しておりまして復旧までどのくらいかかるか、分りかねますので、お待ちいただくか、日を改めるか、なさっていただけないでしょうか?」

( なんだ。散々待たせた挙句……。)

と思ったが、ボクは血管が普通の人より弱いのでおこつたり怒ったりしないことにしている。

  「いいよ。また、来週にするから。」

そうしたら、テラーのブルゾンちえみは、

  「お客様。少々お待ちください。」

と言ったので、なんか、ノベルティ・グッズでも持ってくるのかと思ったら、

  「どうぞ。」

と言って銀行名入りの使い捨てのホカホカカイロを二個くれた。

( 人を年寄り扱いしやがって。)

と思ったが、ボクは、ボクの血管にまあまあと、なだめられて怒るのはやめた。

あのテラーは銀行の窓口でブルゾンちえみの物真似でもやっていた方がよっぽど愛嬌があるぞ。

( え、余計なお世話?  やっぱり。 )

みたび、荒木一郎さんのまわり舞台の上でを読む。

 

 

友人の漫画家の娘さんは女優だが、その子のお父さんを通して、

荒木一郎さんの本を読む?」

と尋ねたら、
父曰く。

「うちの子は台本も読めないので、せっかく、いただいても読まないと思いますよ。もったいないから、カンサイさんがご自分で蔵書になさってくださいまし。」

と言われた。
おっとうにあげる訳じゃあ、ねえんだけどな。

まあいいか。面白いから、何度でも読めるもんなあ。
友人に譲渡する以外には他人にはあげたくねえ。
メルカリやBOOKOFFにゃあ出さねえぞ。

3200円じゃ安すぎる。買取は半値二掛けくらいなんじゃろう。五百円以下か。
そんなもんじゃろう。

あと、小説巨人の星初版本箱入りブックカバー付き汚れ虫食い無しという完品もあるぞ。
って、わしゃあ、アフィリもネット販売でもねえから、大事な本は墓場まで持って行くつもりだ。








引き続き荒木一郎さんのまわり舞台の上でを読む〈面白いぞっ‼しかし、半分も読めてない。面白くて。〉

荒木一郎さんのまわり舞台の上でを読んでいる。
面白くてまだ、半分までも進まない。面白いから、荒木さんの言葉を反芻する。時にネットで検索するのでますます、遅延する。
本編はインタビューによる構成になっている。歌手としての荒木さん。俳優としての荒木さん。作家としての荒木さんについて、書かれている。今、歌手の途中。そして、インタビュアーは、荒木さんについて熟知している。そういう人を厳選している。
野坂昭如勝新太郎若山富三郎大原麗子研ナオコ、宇崎竜童、羽仁進等々の名前がポンポン出てくる。大原麗子のために作った曲とか、桃井かおりのプロデュースに心血を注いでいる様子、岸本佳代子の欲の無さとか、ボクらが知らなかった荒木一郎さんのエピソードに「へえ~。そんな事情があったのか?」と驚かされる。


考えてみれば、「バス通り裏」、「空に星があるように」、「いとしのマックス」、「今夜は踊ろう」、「町田警察署の勇み足事件」、「温泉こんにゃく芸者」、「荒木道子さんの息子」くらいの知識しかない。
これは失礼な話だが赦してほしい。田舎では、本当にミュージシャンとか、俳優とか、小説家とか、芸能界とか、についての情報が少ない。ない。荒木一郎さんが青学の付属に通っていて同棲していた。学生の時からバス通り裏に出ていた。渋谷で遊んでいた。
当時、ジャズ喫茶で遊んでいたら、解散した安藤組のチンピラとバッティングした。荒木さんは、ああ見えて結構、喧嘩師だ。手が早い。有名だったらしい。武闘派芸能人だ‼今じゃテレビに出てる俳優なり、タレントなり、歌手が、町の不良とけんかしてただで済むはずがない。そういう、ことが日常だったらしい。

ボクなんか、田舎の子だから、東京はわかる、渋谷も分かる、でも、解散した安藤組の人なんてまわりにいないし、ボクの村には、ジャズ喫茶もない。奪い合う女の子もいないし、遊ぶところもない。田舎の僕には、荒木さんに対して、、「バス通り裏」、「空に星があるように」、「いとしのマックス」、「今夜は踊ろう」、「町田警察署の勇み足事件」、「温泉こんにゃく芸者」、「荒木道子さんの息子」くらいの知識しかない。

こんなのは失礼だ。「荒木一郎さんのファンです。」とは言えない。だから、本を読む。荒木一郎さんのインタビュー記事をもとに構成されている3200円の本を読む。そして、昭和のヒーロー荒木一郎さんの時代を想像している。その時代の東京に思いを巡らす。


うちのが時々、口をはさむ。
「ねえ、荒木一郎って歌手だったの?俳優だったの?歌、うまかった?テレビドラマによく出てくる人?レコード大賞は取った?イケメンだった?お父さんはファンだったの?」
誠に五月蠅い。やかましい。やぐらしかたい。でも仕方ない。リアルタイムで見てない人には荒木一郎さんの独特の雰囲気はわからない。

その点、ボクは、子供のころ、テレビで「荒木一郎」を見ただけだが、、リアルタイムで見ているから断言できる。

「ファンだ‼」

〈 ドラフト外、投手、剛球一直線 〉その名を「ゴマアブラ」と言う

和田アキ子とゴマアブラ〈東京で和田アキ子のカバーをする路上ミュージシャン〉

 

 

 
 
和田アキ子という歌手がいる。今さら、説明無用の芸能界の大御所である。
昭和43年頃デビューして紅白には30回以上の出場をしている。ホリプロの金看板で、女優、司会者、実業家でもある。説明無用と言いながら、説明したくなってしまう人物でもある。 昭和44年、デビュー 2曲目が大ヒットした「どしゃぶりの雨の中で」昭和45年「笑って許して」、昭和47年「あの鐘を鳴らすのはあなた」でレコード大賞
昭和49年「古い日記」(♪あのころは二人とも~)、昭和60年~「アッコにおまかせ」の司会。昭和63年「だってしょうがないじゃない」。歌手としてのビッグヒットはないが順風満帆である。
和田アキ子スティーヴィー・ワンダーのファンである。スティーヴィー・ワンダーはソウルミュージシャンの大御所である。そして、和田アキ子は日本を代表するソウルミュージシャンである。 東京に和田アキ子のカバーをしている路上ミュージシャンがいる。野球に例えるならドラフト外、投手、剛球一直線。その名を「ゴマアブラ」と言う。
初めてゴマアブラの路上ライブを見た時、全身雷に撃たれたような衝撃が走った。 曲はよかった。しかし、曲の論評なんかはしない。彼らはほとんど毎週日曜日、 渋谷、新宿、池袋で路上ライブをしている。日曜の午後、ハチ公横や新宿西口へ行けば演奏を聴けるし、タワレコへいけばCDも買える。
その頃、私は2回目の心臓手術を終えたばかりで、厭世感に浸っていた。仕事にも何の熱意も感じなくなっていた。家族の心配をよそに新宿西口あたりを目的もなく徘徊した。身体は鉛のように重く感じられのろのろと歩いた。小田急前で、やけにでかいドラムの音が私の歩みを止めた。
ボーカルの声はお囃子のように聞こえた。ベースはぴょんぴょん飛び跳ね、ギターは高速で疾走し、キーボードは楽しげに踊った。 人だかりが見えた。赤と白のステージ衣装をきた一人の中年男性と三人の若者が目に飛び込んできた。これが私のソウル、ファンク初体験の瞬間だった。
彼らは、歌い、奏で、踊り、主張した。客は、拍手喝采し、彼らの主張を包み込んだ。それは、生きろ、生きろ、楽しめ、楽しめ、頑張れ、頑張れ、負けるな。一度の人生じゃないかと聞こえた。 五分ほどで路上ライブは終了した。
 
彼らに話しかけたかったが、話しかける勇気もなく私はその場所を離れ、新宿西口の地下街でカレーの店を探した。 そして学生時代、よくそうしたように、瓶ビールとカレーライスを注文した。 冷たいビールでのどを潤し、カレーライスを、ふたくちほど、頬張ると生きる気になった。
今日はいい日だった。今しがた、西口でみたソウルバンドはよかった。 しかし、彼らは将来プロになるつもりなのか?それにしてはベースボーカルは年食ってるなあ。45くらいかなあ?妻帯者だよなあ。子供も二人くらいいて……。 でも他の子たちはどう見ても二十代だなあ。 カレー屋で私はツィッターを打った。
「新宿西口でゴマアブラと言うバンドを見た。上手いっ!年季入ってる。 だけど親不孝バンドなんだよね。 そりゃあ、あんたがひとりもんならいいよ。けど妻子がいるなら、 ここらが潮時じゃねえ?メンバーたちも将来あるし……。」
勘定を済ませようとした時、リツィートが来た。
「ありがとうございます。ゴマアブラのベースボーカル、ダディー直樹です。 俺たち全員27歳のひとりもんです」
歌がソウルで顔がファンクか。私は再び衝撃をうけた。 そして、もう一度、楽しく生きようと思った。
和田アキ子64歳。私60歳 ゴマアブラメバー全員今年30歳になる。 だからこの文章のタイトルは『和田アキ子とゴマアブラ』であっても。和田アキ子がお得意のワラジ大のメンチカツを揚げるときに。ごま油を使うという話ではないのである。
 
 
 
(注記)
現在、ゴマアブラは路上活動は、終えています。和田アキ子は紅白を卒業しています。

危険物取扱者って、おいおい。

 

グリルでサンマを焼いていたら、グリルから火の手が上がった。
ボクは何をとち狂ったか、息を吹きかけて消そうとした。とんでもない。
ボクのした行為は火の元に酸素を送り込んで燃焼を促進する行為だ。
炎はキャンプファイヤーくらいの量になった。
家の女が布巾を濡らしてグリルの中の炎を消し止めた。
適切な行為と言うべきだ。
つまり、火源から酸素を遮断した訳だ。
 
ボクは危険物取扱者乙種第4類と言う免状を持っている。
でも、非常時にこの体たらく。
面目丸つぶれ。
 
サンマはこんがりと焼けたがボクのメンツはどこかへ飛んで行った。
あとかたもない。

昭和のアイドルレスラー

〈  スカイハイ 〉ミル・マスカラス『千の顔を持つ男』『仮面貴族』

 

 

都内でカラスが暴れているらしい。テレビのニュースで見た。空中からの攻撃には人間は弱い。スズメバチとか、カラスとかにつつかれたら無事ではいられない。雷や竜巻や雹、あられ、とにかく空から、攻撃されたら防ぎようがない。

 

そのニュースを見て、突然、何の脈絡もないのだが昭和のアイドル・プロレスラーを思い出した。ミル・マスカラスである。無理矢理言うとカラスつながりだ。

こう書くとブログが荒れるのではないと言う向きがあるが、余計なお世話だ。文章下手は自覚している。

 

ミル・マスカラスと言えば、アーロン・ロドリゲス商売上の名前だ。日本語に訳すると『千の顔を持つ男』となるそうだ。プロレス的には、もうこれだけで素晴らしい。後は、どうやって強さをアピールできるか、どうやって魅せることができるかである。

 

派手なマスクを複数持っていて毎回違うマスクでリングインする。試合用のマスクの上にオーバーマスクと言うのを着けていて、リング上で名前を呼ばれると同時にオーバーマスクを脱いで観客席に投げ込むと言う派手なパフォーマンスをする。それだけでも観客は大喜びする。

リングに上がる前花道では、ファンがミルマスカラスを肩車して登場する。入場テーマは、ジョージ・レーゼンビーの主演映画の主題歌でジグゾーというロックグループの『スカイハイ』だ。

それから、めったにラフファイトをしない。反則もしない。これが、反則外人、悪党覆面レスラーを見飽きた昭和のプロレスファンやちびっこファンに受けた。

それから、じつはケンカファイトも強いと言う事がわかって来た。ミルマスカラスの仮面を破ったレスラーは四人、ザ・デストロイヤーアブドーラ・ザ・ブッチャータイガー・ジェット・シン、トミー・ツルタ( ジャンボ鶴田 )。そして、この四人はマスクを破ってミルマスカラスの素顔を暴くと言うところまですることはできなかった。

 

当たり前だが、商売道具のマスクに手をかけられてマスカラスが黙っているはずはない。ボクサーのようなパンチで相手を攻撃する。パンチが早くて重くて、手数が多い。マスカラスがパンチを振るう時、彼は商売としてのプロレスをしてはいない。リング上でけんかをしているのだ。

 

ケンカと言えば、1979年の秋だったか、アブドーラ・ザ・ブッチャーとのケンカ試合を思い出した。反則、凶器、マスク破りをブッチャーが仕掛けた。マスカラスの顔色が変わった。(ウソ!マスクで顔色は分からない。)マスカラスはパンチで応戦した。と言うより、途中から、ずっとブッチャーの頭と言い、顔と言い殴り続けた。もちろんブッチャーは流血してグロッキーになった。時たまふらふらしながら逆襲しようと試みたが奏功することはない。

 

肝心なのはここからで、両者リングアウトの混乱の中、二人を引き離そうと大挙して日本側、外人側レスラー出て来て、両者を分けた。その時、ブッチャーの地獄突き( 空手で言う抜き手 )が控えの選手に当たった。すると突然、日本側、外人側レスラーが総がかりでブッチャーに殴ったり、蹴ったりのリンチを加えた。

マスカラスもブッチャーも当時全日本プロレスの花形レスラーだから、リンチや私闘で負傷することは試合数の減少、観客動員数の減少、売上低下につながるから馬場さんが許すはずがない。

しかるに大勢のレスラーがブッチャーに制裁を加えた。思うにブッチャーが嫌われていたと言うよりはマスカラスの怖さ、レスラー仲間が今でいうところの忖度をマスカラスに行ったと言うのが真相らしい。

ミルマスカラスはアイドルレスラーであると同時にケンカ強さも怖さも兼ね備えていたと言えよう。

 

余談だが、アーロン・ロドリゲス自身は生涯、四度、結婚している。それだけでも一流のアイドルレスラーではないか。( 知らんがな! )

アマレスの出身でなくて、ウェイトリフティングの選手経験がある。デビュー前は服飾デザイナーというから凄い。弟二人も人気レスラーでドスカラス、エル・シコデリコ(エル・サイケ・デリコ)と言う。もちろん、二人とも覆面レスラーだ。弟二人のマスクもアーロン・ロドリゲスのデザインらしい。

 

こんな余談で脱線をするとブログが荒れると言う人がいるが、かまわない。何しろ、ミルマスカラスはボクにとっては昭和のアイドルレスラーだから、あれもこれもエピソードを知ってる限り、ぶっこみたくて仕方がない。

 

そうこうするうちに『仮面貴族』の言われの由来も、『フライングクロスチョップ』の技術解説も、ミルマスカラス主演映画のエピソードについて書くスペースが無くなってしまった。残念で仕方ない。せめて『スカイハイ』のメロディでも口ずさんでみよう。歌詞は英語だから知らんけどな。