『喝采』(1972)昭和の歌姫ちあきなおみ


昭和の歌謡界には「ちあきなおみ」と言う名人がいる。1992年の夫の死とともに、名曲を残して忽然と消えた。
彼女の『喝采』(1972)という曲が、なぜだか心に染みるようで忘れ難い。歌詞は悲恋物語だ。内容は、以下のようなものだ。


 歌手である私がステージに立つ日、別れた恋人の悲報が届いた。
 3年前、止める貴男(恋人)を一人『駅』に残して私は列車に乗った。



ドライブ中にカーラジオから『喝采』が流れた。家人が言った。
「この『ひなびた町の駅』って、『鴨方駅』なのよね。」
岡山市の西方、車で一時間半程の所に、鴨方町が存在する。「平成の大合併」で浅口市鴨方町となった。その時、偶然、鴨方町の付近を走っていたので『鴨方駅』に寄ってみた。歌のイメージ通り『ひなびた町の駅』だ。

元々、『喝采』と言う曲は、すでに進行中の物語の世界に、聞いている人がすっと入り込んでしまうような不思議な歌である。歌詞で描かれているストーリーの背景をあれこれと想像したくなってしまう。しかし、実際に歌詞のモデルになった町を訪れても何も無かった。駅もただのローカル線の駅だ。

歌詞は歌詞。イメージはイメージ。あれこれ詮索して「現地」を見ても意味は無かったけれど、『喝采』という曲には人を誘いこむ魅力がたくさんあることだけは確かだ。