荒木一郎 3大 エピソード ①いとしのマックス

 

いとしのマックス

 

 

荒木さんは秋田いぬを飼っていた。名前をマックと言う。個人的にバンドも持っていた。高校時代から始めたモダンジャズのバンドを進化させ、その後メンバーの交替もあったがデビューさせるところまでは実力がつかない。

荒木さんは俳優として高校生の時から稼いでいたのでバンドの資金は荒木さんのテレビドラマのギャラなどでまかなっていたらしい。

 

一方、東海ラジオだかのDJ番組が大人気で其のテーマ曲をシングルでレコードにしたら60万枚の大ヒット。紅白歌合戦にも出る。「空に星があるように」がそれだ。

いとしのマックス

 

ビクターレコードから誘われ次の企画が始まる。

自宅で自分のバンドのメンバーを集めて練習していたら曲のさびのところで愛犬マックがかならず吠える。

うるさいマック!

叱りつけてもう一度演奏し、歌い始める。さびでまた愛犬が吠える。

うるさいマック!

そのままデモテープを聞いたビクターのディレクターが、荒木さん、「マック!マック!」って叫んでるけど、タイトルは「いとしのマック」じゃゴロが悪いから「いとしのマックス」にしてしまいましょう、と決めてしまった。

ディレクターは荒木さんが歌うんでしょと言う。

 

この辺に意思の疎通の齟齬があって荒木さんはバンドの為に作って彼らのデビュー曲にしたかった。ビクターのディレクターは廊下に土下座してお願いする。荒木さんが歌うとまたミリオン狙いとなるからどうしてもと。

無名のバンドが歌っても金にはならない。

 

「いやだよ。なんで俺が『ゴー!』なんて歌うんだよ。こいつらの曲なんだ。」

ディレクターは泣き落としでとうとう荒木さんは自分で歌うことを了承する。

ゴーの部分を荒木さんが虚無的に、脱力して歌っているように聞こえるのもそのせいか。

吉田正自撰77曲(上)

でビクターのレコーディングが始まると、ビクター専属の大作曲家吉田正門下の楽隊のチームがいて愛しのマックスがタンゴ調歌謡曲になってしまう。

怒って荒木さん一度だけ録音して一発でOK出して弦楽チームもアレンジャーもお疲れさんと言って全員返してしまう。

 

後はリズム隊と自分のバンドのメンバーと荒木さんで録音したのが「いとしのマックス」。

 

簡単な曲と思っている人が多いけど荒木さんの曲の特集をやったミュージシャンが、荒木さんはあんなに難しい歌をあんなに易しく歌っているのかとびっくりしたと言う。

 

そのはずで元々荒木さんは英語で歌詞をつけて原曲を作った。あとから日本語に変えようとするとシンコペーションが強すぎて替えられない。

曲に会う日本語がない。

「桑田佳祐スペシャル」

桑田佳祐さんの歌い方は日本語を英語の様に歌っているけれどあれもシンコペーションの問題で、元々は英語で構成されたんだろうと荒木さんは言っています。あといとしのマックスを聞いた時大橋巨泉さんが日本で初めてminor7の曲を荒木が作ったと語っただとか、この辺は音楽にド素人のボクには辛いのでカットします。

 

ジャズ・ヴォーカル名盤100 (講談社プラスアルファ文庫)

そういう話が延々と出てきます。

次はチンペイが荒木さんの楽曲を盗作した話か、

恋人の大女優の話です。

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