これは九死に一生を得るの駄洒落なんです。
(前回のお話)
僕と同僚が出張帰りにタンデムしてたら暴走族の群れに囲まれてしまったと言うお話
☆ ☆ ☆
僕は恐怖で腰が抜けてその場にへたり込んでいたので、同僚とバイクチームの先頭の男がどんな話をしたのかは知らない。ボクも同僚も暴走族にボコボコにされると思っていたのだがそうはならなかった。
同僚は普通に先頭の男(多分暴走族のリーダー)と話した後、笑顔でその場を離れ僕の手を引いて起こしてくれた。
「お待たせ。じゃあ帰ろうか。」
同僚のバイクに乗ってタンデムで帰ろうとした時暴走族チーム全員が整列して見送ってくれた。全員が最敬礼で頭を下げていた。僕たちのバイクをあおって危険行為を働いた男もお辞儀をしていた。
僕らが立ち去ろうとした時リーダーの男が「総長!すみません!」と叫んだ。
? ? ?
僕は同僚にバイクの後ろから尋ねた。
「お前、昔暴走族にいた?」
「いないよ。」
「暴走族のリーダーがお前のこと、総長って言った。」
「聞き間違いだろう。」
この大人しい同僚が若い時暴走族にいたのだろうか。
たぶん、暴走族のリーダーだったのだろう。
バイク歴長いと言ってたっけ。
暴走族上がりの銀行員。
なんだか彼がとても頼もしく思えた。
だけど僕はこの話は誰にもしていない。