苦節十一年の末、昭和歌謡ムードコーラスグループとしての自分のチームの大命題、「夢は紅白、親孝行」を遂に果たした「純烈」のプロデューサー兼リーダーの酒井一圭さんの経営能力について検証してみる。
友井雄亮さんの事件後のプレスとの会見場に於いて、酒井さんは、
「僕の中であいつ(友井さんのこと)はもう死にました。だから、もう二度と会うことはないと思います。」
と述べた。
苦労を共にしたかつてのメンバーに対して何と冷たい言葉を吐くものだ、と言う向きもあろうが、ボクはそうは思わない。
酒井さんのこの会見場での立ち位置は、言わば不祥事を起こした企業の最高責任者と言ったところだ。
このシークエンスで、彼が友井さんを擁護するような発言をしたら、プレスの集中攻撃を受けるに違いない。
そうなると「純烈」の未来はない。念願の「紅白連続出場」もない。
あの場面での発言の是非についてボクのような浅はかの門外漢が語ってよいはずはない。
けれど、経営者としての酒井さんの発言は当然のことだし、他に取るべき道はなかったのかも知れない。
もともと、ジャニーズにいた友井さんのキャリアとスキルを高く評価し、純烈の創成期のメンバーに引き入れたのは、リーダーの酒井さん本人である。
ステージでは、酒井さんの隣に友井さんが立つことが多く、二人の関西弁のハイテンション・トークは鉄板ネタだった。
リーダー酒井さんがボケて、若い友井さんが突っ込む。
二人とも関西弁。
絶妙の間だ。
ベテランのお笑い芸人と比較しても遜色のない掛け合いだ。
「純烈」のステージの上で11年間も培った話芸だ。
面白くないはずがない。
思うにリーダーとしての酒井さんは友井さんを信頼していたと思う。
しかるに、グループを守ること、組織を守ること、を考えた時、あの発言はやむを得なかった。
経営者酒井一圭としては苦渋の選択だが、正しかったのではないか。