力道山のことを「力さん」と意外に気さくに呼んでいたアントニオ猪木

 

 

激録 馬場と猪木〈第1巻〉両雄、アメリカ修行時代

 

 

 

 

新弟子になりたての頃の猪木と馬場が雑誌で対談している。その出典について述べたいが失念した。

記事については二人の対話を記者が雑誌記事に改めたものであるから、若い二人が意外に理路整然と冷静に自分たちの職業について語っているように読み取れるのは、ひょっとすると記者の編集や記者のプロレス観が入ってしまったのかも知れない。

二人はその時開催中のワールドリーグ戦と外人レスラーについても言及している。

まるで評論家のように述べる猪木の発言にはハッとさせられる。

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猪木は熱心な大人のプロレスファンのように語る。時に、力道山のことを「力さん」と意外に気さくに呼んでいたりする。

後で殴られたりしなかっただろうか?

 

余談ながら、この時点で猪木はまだ給料をもらっていなかったように思われる。力道山豊登からの小遣いを給料替わりにしていたらしい。馬場は当初から入門時に読売球団在籍時の給料を約束されたが、実際は月給30000円と著書で述べている。

二人は金銭的な面でさえスタート時から差別されていたようだ。

そこへもってきて「力さん」発言力道山の耳に入ったら殴られ小遣いも止められ兵糧攻めにならなかったろうかと老婆心ながら心配だ。

 

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馬場は先輩の仕事ぶりを冷静に見つめ自分がワールドリーグ戦に参加したとしたらどう働くべきかと言うふうに述べている。対して猪木は記者か評論家のようにレスラーより一段と高い所に立ち見下ろしているような発言をし、力道山に対しては「力さん」と意外な呼び方をしている。まるで同僚に話すようだ。

 

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豊登は「力さん」

大木金太郎は終生「先生」

ユセフ・トルコは「社長」「先生」「力さん」をTPOで使い分けし、

グレート東郷は「力」

それぞれ呼んでいたようだ。

 

あの猪木の「力さん」と言う呼び方は気になって仕方ない。

記者の捏造だったら、むしろ納得だし力道山に対しても申し開きが可能だけど。