東大法科出身の江波戸哲夫さんの原作だけど、底本を読んでないから分からないが、江波戸先生は今回のテレビドラマのような、ドタバタコメディーを書く小説家ではないので、テレビドラマの方が脚色しすぎなんじゃないか。

まあ、小説をよんでみるわ。

ドラマに登場する役者では、本部検査役を演じた小手伸也さんが面白かった。芝居はあまりうまくないみたい。現実には、まだ、役者で食えなくて通販のコールセンターでバイトしていると言ってたけど、苦労人が、日の目を見る場所に出れたということは、なんだか、ほのぼのしてしまう。芝居はもうひとつ、と思う。

金融機関の検査役ってほんとにどうしようもなくクズで前科持ちみたいのばかりで、検査部長はお飾りの「殿」が多い。検査部次長とか、主任検査役クラスでかろうじて目の見える人がいるくらいで、下っ端の検査役はクズばかり。決算書すら読めない。民事執行法なんか聞いたこともない。日経新聞読まずに東スポを読んでいるような連中。


たいてい、営業店で、事故を起こしたり、不祥事をやった連中の吹き溜まりだから。毒を持って毒を制すじゃないけど、不正や事故の当事者を配置換えの人事異動で、検査部に転勤させるんだよね。
「臨店検査」と言って、池井戸潤さんの「半沢直樹」シリーズや「花咲舞が黙ってない」にもあつかわれていたような抜き打ち検査で不祥事や不正をあぶりだすような検査もやったりする。


ところが、肝心の検査役の半分はあほで、営業店の不正を見抜けない。残りの半分は「脛に傷持つ連中」で不正の手口には詳しい。なにしろ、昔、どっかの営業店でてめえがやってた不正の手口やインチキだから、他人のアラや不正を暴き出すのはお手の物だ。


そういう、いやらしさが小手伸也さんという役者さんには不足していたように思う。きっといいひとなんだろうね。まあいいや。

TBSの原作のアレンジの失敗には、作家の江波戸哲夫先生も切歯扼腕の思いだろうね。きっと。ちなみに、江波戸先生の本はずいぶんブックオフに持ってったけど、『辞めてよかった。』だけは今も大事に持っている。この本は、勤務先に腹を立てて辞めたくなった時に銀行員が読むバイブルだ。