早朝の救急車

 

住宅地の中に救急車がサイレンを鳴らしながら入って来た。わが家と同じブロック内の或る老夫婦の家の前に停車した。 

私は古希だが、御夫婦とも私より10歳以上は年長者に見える。毎夕御夫婦で町内を散歩している。

奥さんはしっかりした足取りで雨の日も風の日も歩いている。御主人は杖を突きながら百メートル程の通りを一往復してさっさと家の中に入る。

時々、二往復、三往復させられている。奥さんが玄関の前に仁王立ちになってその様子を監督している。健康のため、歩行訓練を強いられているかに見える。

歳取ってかかあ天下はよいのですが女尊男卑で御主人は辛そうだ。

 

救急車に乗って運ばれていったのが御夫婦のうちのいずれか分からぬが、ご無事を祈るばかりだ。